留学先ラボの探し方ー勧められるがままでいいのか?ー<ポスドク研究留学への道(3)>

2019年11月27日水曜日

キャリアアップ

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ポスドク留学を志す人にとって、留学先ラボをどうやって見つけるかが、最初で最大の問題でしょう。筆者も留学希望の人から何度か個人的に相談されたことがあります。

人それぞれ、理想のラボ・上司像も異なるのでなかなか正解はないですが、筆者の経験をふまめて留学先の探し方について何回かに分けて書いてみます。

本人主導で探すか、他者の援助で探すか

留学先の候補を探す方法として、本人主導か、他者の推薦・援助が大きく関わるか、まずは大きく2つのパターンに分かれると思います。

本人主導というのは、研究者自身が面白いと思うテーマ、行きたいと思うラボを自分で一から考え、情報を集めていく探し方です。本人主導の場合でも、周りの人に意見を聞いたり、「知り合いの知り合い」の様なコネを仲介してもらうこともあるかもしれませんが、基本的には研究者自身の希望がラボ選びの最初の原動力となるような探し方をイメージしています。

一方、他者の推薦・援助というのはその逆で、本人の留学希望を知っている周りの人(上司など)から、このラボはどう?と勧めてもらうような状況です。周囲の勧めと本人の希望が一致する場合もあるでしょうし、勧めた人とラボとの関係の深さも様々なパターンが考えられますが、うまくいけば留学の実現性がかなり高くなります。

他者の援助で留学先を見つける場合

他者の援助で留学先を見つける場合、筆者が知っているパターンとしては、

(1)知り合い(や上司の知り合いなど)が留学経験があり、同じラボへの留学を勧められる
(2)上司が(直接の知り合いかどうかは別にして)ある程度留学先のボスについて知っていて、上司が留学先のボスにうまく掛け合って留学話の最初の一押しをしてくれる

などのケースがあります。

(1)の場合、これまでにも何人かが同じラボに継続的に交代で留学するなど、そのラボへの留学がほぼ既定路線(確実に留学できる)となっていることもあるでしょう。そこまでではなくても、過去に同じラボに留学していた人の推薦が得られるので、留学の実現可能性は非常に高いです。

(2)の場合も、上司が留学話の最初のきっかけを作ってくれれば、留学の受け入れには非常に有利です。留学先のボスは少なくとも話を聞いて検討してくれるでしょうし、さらに直属の上司の推薦をふまえて比較的前向きに留学受け入れを考えてくれやすい状況にあります。

他者の援助がある場合のメリット

こちらが留学を希望しても、希望通りのラボから受け入れを勝ち取るのは難しい場合も多いです。特にビッグラボになるほど話すら聞いてもらえず門前払いとなりやすいです。知り合いの紹介によりその点をクリアできる状況は留学にとって大変有利です。

また、紹介してくれる人が留学先のことをよく知っている場合、ボスの人となりやラボの環境などをその人を介して事前に教えてもらえるのはメリットが大きいです。ラボによっては外見と中身が全然違う場合もあり、ラボ見学では良さそうに見えたラボが、留学してみるとボスが気難しい人であったりラボ内の雰囲気が悪かったりなどして後悔することもありえます。留学先ラボについて詳しく知っている人から勧められるラボはハズレのラボではないでしょうから、安心して留学に臨めます。

また研究分野としても、おそらく自分のこれまでの研究と馴染みの深い取り組みやすい分野となるために、留学してもスムーズに研究を開始できるでしょう。

他者の推薦を元に留学先を決めるデメリット

しかしこれらのメリットのいくつかは、逆にデメリットとなる可能性もあります。

周囲の勧めのままに留学する、ということは自分で強く望んでそのラボに行く、という意志が相対的に弱くなります。そして自分で強く望んで留学先を選び抜いて留学した人と、勧めのままに留学した人では、留学先での仕事への意欲にも差が出てくる可能性があります。留学先のラボ・研究テーマを自らの明確な意思を持って選んだ人は、特に研究がうまくいかない時でもその意志を拠り所に苦境を乗り越えられるでしょうが、流れのままの留学では辛さや後悔を強く感じてしまうかもしれません。

また、ラボへの熱意は留学先ボスにも伝わります。ラボの学生の見学でも、なぜうちのラボに来たいと思ったのか、と聞いてみると何となくで来ている人と、本当に研究内容やラボのことを調べて強い意欲を持って見学に来ている人では反応が違うのですぐわかります。そして当然ボスの方も、ラボへの強い情熱を持って来てくれる人を大切にしたいと思うのが人情です。

同じように留学先のボスも、勧められるがままに留学してきた日本人への思い入れが弱くなってしまう可能性は否めません。特に頻繁に日本人が入れ替わり留学している様なラボでは、留学先のボスと将来にわたる唯一無二の深い絆を築くことは難しいかもしれません。

また研究分野についても、自分のこれまでの研究と馴染みの深い研究を継続するということは逆に、留学しても研究分野が変わらず、研究者としての成長・幅を制限することにつながるかもしれません。

必ず一度は自分主体で留学先を探す

身の回りの人が留学先をいろいろと勧めてくれること自体はありがたいことです。留学先の選択肢は多いに越したことはありません。

一方でポスドク留学は個人の将来の研究者人生に深く関わる選択であり、勧められるがままではなく、自分自身でテーマ・ラボを考えて留学するべきだと筆者は思います。自分が将来にわたってどういう分野の研究に進んでいくのか、どういうラボを選んで留学するのが良いのかをしっかりと考え、自分にとって最善と思える留学の選択ができた人は、その選択が正解であったと留学後にうまく思えたならば、その後の研究者人生でも自分の選択を信じてきっと前向きに歩み続けられるでしょう。

自分が悩んで選んだ留学の希望と、周囲の人からの勧めがたまたま一致するのならそれはそれでよいですが、必ず一度は周囲の意見を無にした状態で自分の考えのみで留学先を探そうと行動してほしいと思います。

どのようにして自分主体で留学先を探すのか、についてはまた別の記事で書きたいと思います。

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